ここ数日で七海はすっかり回復し、先生や看護師の皆さんを怖がらなくなってきました。術後3週間ほど殆ど体を動かす機会がなかったので体力や筋力の低下を心配していましたがそれほど落ちてはいないようで、元気に寝返りをしたり、足をばたつかせたり、一人座りでおもちゃで遊んだりしています。これは今までセラピーでみっちりと鍛えられてきたお陰だと思います。移植させていただいた腎臓の働きも順調に回復し安定しています。まだ微量の出血など尿検査上の異常はありますが、これも時間が経つに連れて良くなると思います。

順調に行けば今週の半ばには退院できる予定でしたが、腎臓を保護するのに必要な水分の補給のためにミルクの量を増やしていったところ、嘔吐と下痢が始まってしまったため退院が延期になりました。腎臓はまだ完全に回復しているわけではないため、十分に水分を取って尿を出すことが今の七海にとってはとても重要なことの一つになっています。腎臓に負担をかける恐れのある下痢や嘔吐などによる脱水には十分に気をつける必要があり、先生方が嘔吐や下痢の原因が感染や投薬によるものではないか検査をしたり、ミルクの量や濃さを調整して必要な水分を確実に取れるように診てくださっています。

手術直後からしばらくは点滴だけで水分補給を行って腎臓を保護してきましたが、意識がはっきりしてきた頃からミルクと点滴を併用して水分を補給するようになりました。点滴は水分補給の他に投薬でも使用していますが、日常的な薬は基本的に経口に切り替えることができるため、十分な量のミルクを飲めれば点滴は外すことができます。また、点滴のトラブルは私達だけでは対応が難しく、その都度病院に行くとなると対応に時間がかかる可能性があるため、点滴を外してミルクだけで水分を取れるようになった段階で退院することになりました。嘔吐と下痢が始まるまでは、順調にミルクの量を増やし、その分の点滴を減らして行くことができましたが、やはりまだ胃腸の調子は完全ではないようです。手術に伴う食事制限が長く続いたためこれは仕方がありません。目標の量まであとすこしですので焦らずに待ちたいと思います。

中山明・美紀子