水曜日にオキュペーションセラピーを受けた後、帰宅してしばらくすると加藤先生から移植になる可能性があるので連絡を待っていてください」とお電話を頂きました。

二人で右往左往していると医療通訳の平木さんを通して移植コーディネータさんから 「病院で適合検査を受けて入院してください」と連絡が来たため病院に向かいました。 病院では採血できる血管が驚くほど早く見つかり検査用に10本のスピッツに採血をしました。採血後、平木さんに入院手続きを手伝っていただき小児移植外科病棟(PTSU)の病室に入院しました。

病室で待機していると、加藤先生が手術の説明と質問を確認しに来て下さいました。 その際に「適合の判定には6時間位かかります、移植が行われるかどうかの決定は夜中過ぎになると思います」と教えていただきました。その後、点滴が始まり、心電図やレントゲンをとりました。私達が動揺しているのが伝わるのか七海も落ち着かず、妻が添い寝するとようやく眠り始めました。UNOS※での判定の結果、適合が完全に一致する方がいらしたため今回は七海の移植は見送られました。
※ United Network for Organ Sharing(全米臓器分配ネットワーク)

最愛のお子さんのご不幸で深い悲しみの中にあるにも関わらず、他人を助けることを お決めになったご両親に心から感謝し、天使となったお子さんの安らかなお眠りをお祈り申し上げます。

ここマイアミ大学ジャクソン記念病院では毎日のように移植手術が行われ、数多くのレシピエントの方達がドナーとなった方の尊い命の贈り物によって助けられています。尊い命のリレーが私達のごく身近なところで行われています。

月曜日と水曜日はオキュペーションセラピー(OT)を受けに行きました。オキュペーションセラピーでは指先の動きなど細かい作業をする訓練をします。前回までの七海はあまりおもちゃに興味を示さないためオキュペーションセラピーはとても苦痛に感じているようでしたが今日はセラピーが終わる間際まで泣かずにおもちゃで遊んでいました(遊ばされていました)。これにはセラピストのアンジーさんも驚いたようで「今日はナナミはすごく反応が良くなってがんばっているわね。」と誉めていただきました。ここ一週間ほどで急におもちゃに興味を示すようになってきましたがそれがOTに現れて来たようです。

火曜日は血液検査と加藤先生の診察を受けに行きました。血液検査は回を追うごとに採血が難しくなってきていて今回もかなり時間がかかり七海は大泣きでした。私達も看護師さんも早く血管が針に当たってくれることをただ祈るしかありません。診察では加藤先生に「肝機能の数値も正常に戻ったし、腎機能も安定しているので良いですね」と仰っていただきました。

前回の診察で七海の血圧が高めだったため七海の血圧を一日数回計るようになりました。血圧を測るのが難しく手早く計れないため始めのうちは七海の腕が赤くなってしまいましたが1週間、聴診器と血圧計と格闘するうちになんとか計れるようになってきました。

金曜日はフィジカルセラピー(PT)でした。フィジカルセラピーではお座りの練習と腹筋の強化をしていただきました。こちらでもオキュペーションセラピーと同じようにおもちゃに興味を示し、今までよりずっと辛抱強くセラピーを受けていました。セラピストのアリーンさんにも「とても良くなってきた」と仰っていただきました。

OTアリーンさんと

加藤先生の診察

中山明・美紀子